今、あなたの目の前に
「簡単に儲かる」
「絶対に儲かる」
と言って、急速に成長する暗号資産(仮想通貨)への投資を勧める話が現れるかもしれません。
しかし、その言葉の裏に潜む「詐欺」の罠に、あなたは気づいていますか?
現代の金融市場は、あまりにも魅力的な話が溢れています。
その中で、あなたの大切な資産を守るためには、冷静な判断力と正確な情報が必要不可欠です。
今回は、数々の詐欺の手口を徹底解説し、あなたが詐欺に巻き込まれないための「見分け方」をお伝えします。
・暗号資産(仮想通貨)の詐欺の手口
・詐欺コインの特徴
・暗号資産(仮想通貨)詐欺への対策
目次
暗号資産(仮想通貨)詐欺の主な手口
高配当を約束
暗号資産(仮想通貨)における詐欺でよく見られる手口の一つに、「高配当を約束する」というものがあります。
このような詐欺では、通常の投資よりも遥かに高いリターンを約束し、投資家を引き込もうとします。
例えば、
といった甘い言葉で勧誘されることがあります。しかし、暗号資産(仮想通貨)の価格は非常に変動が激しく、利益を保証することは不可能です。
こうした「高配当」を約束する話には注意が必要です。
本当に安全で信頼できる投資であれば、配当や利益について保証することはなく、リスクを理解した上での投資判断が求められます。
高配当を謳う案件は詐欺である可能性が高いため、慎重に判断しましょう。
元本保証
暗号資産において「元本保証」を謳っている案件は、ほぼ間違いなく詐欺であると考えた方が良いです。
仮想通貨はその性質上、非常に価格が変動しやすく、どんな投資にもリスクが伴います。価格が急騰することもあれば、急落することもあります。
このため、暗号資産において元本保証を提供することは現実的に不可能です。
振り込め詐欺的な手口
暗号資産における振り込め詐欺的な手口も増えており、詐欺師はさまざまな方法であなたをだまそうとします。
1.偽の取引所やウォレット
偽の取引所やウォレットを使い、暗号資産を振り込ませる詐欺。最初は少額で利益を見せ、後に大きな額を要求。
2.口座凍結の偽通知
「口座が凍結される前に資産を移動させて」といった偽の通知で、指定のウォレットに振り込ませる。
3.高リターンの投資話
高配当や元本保証を謳い、投資家にお金を振り込ませる詐欺。最初は利益を見せて、さらに投資を促す。
4.ギフトやプレゼント詐欺
「暗号資産を送れば倍返し」など、ギフトを口実にお金を振り込ませる。
5.偽の取引所サポート
取引所のサポートを装い、暗号資産を別のアドレスに移動させるよう指示し、盗む。
ICOプロジェクトによる詐欺
ICOは新しい暗号資産を公開するための資金調達方法ですが、詐欺師がこれを悪用することがあります。
SNSを利用した手口
1.存在しないプロジェクト
実際には進行していないプロジェクトで資金を集め、投資家をだます。
2.高すぎるリターンの約束
「必ず儲かる」といった過大な利益を約束する。
3.不明瞭な内容
プロジェクトの詳細や計画が曖昧で実行可能性が不明。
4.資金集め後に姿を消す
集めた資金を持ち逃げする。
仮想通貨を含めた代表的な投資詐欺の仕組み
ポンジスキーム
ポンジスキームは、1910年~1920年代にアメリカの詐欺師チャールズ・ポンジが仕掛けた投資詐欺に由来しています。
その仕組みは、出資者に高配当を約束して資金を集めるものの、実際には投資運用をせず、新たに集めたお金で既存の出資者に配当を支払うという方法です。
これにより、運用がうまくいっているかのように見せかけますが、実際には利益は生まれていません。
詐欺師はその崩壊を前提に資金を集め、出資者からお金をだまし取るのです。
最初はヘッジファンドなどが投資対象でしたが、現在では暗号資産(仮想通貨)にも同じような仕組みで詐欺が行われており、手口は変わっていません。
ネズミ講
暗号資産(仮想通貨)を利用した詐欺的な投資スキームで、参加者が新たな参加者を勧誘することで利益を得る仕組みを指します。
ネズミ講は通常、参加者が投資したお金の一部を上位の参加者に渡す形で成り立ち、実際には新たな投資家が入ってこないと成り立たないため、持続不可能です。
これに関連する詐欺では、実際に価値のないトークンや暗号資産が販売され、利益を得るためには新たな投資家を誘い込む必要があります。
しかし、このようなスキームは法律で禁止されており、多くの場合、参加者は最終的に損失を被ります。
法律で禁止されている
虚偽の情報
インフルエンサーなどに成りすまし、虚偽の情報を流して投資を促すタイプの詐欺です。
こうした情報が広まり、暗号資産(仮想通貨)の価値が上がったタイミングで詐欺師はそれを売却します。
この手口は、直接的に誘う形ではないため、情報の真偽を見極めなければ誰でも騙される可能性があります。
暗号資産の詐欺コインに注意
詐欺コインとは、実際には価値がないか、存在しない暗号資産のことを指し、詐欺師によって売りつけられるものです。
ここからは、実際にあった詐欺コインの一覧や詐欺コインの特徴を解説します。
暗号資産の詐欺コイン一覧
サークルコイン
サークルコインは、合同会社エクラドクールが販売していた仮想通貨で、同社は税務調査により9億円の所得隠しが発覚しました。
また、サークルコインを開発していたネオシードには実態がないことも明らかになりました。
さらに、架空の会社から仕入れた仮想通貨の代金を経費として計上していたため、重加算税を含む追徴課税が3億円を超えることが判明しています。
サークルコインが詐欺的な性質を持つとする被害の訴えがあり、現在は集団訴訟プラットフォーム「matoma」で集団訴訟が進行中です。
クローバーコイン
クローバーコインは詐欺的な仮想通貨として報道され、販売していた48ホールディングスは特定商取引法違反により、3ヶ月間の連鎖販売取引停止命令を受けました。
勧誘時には「3ヶ月で128倍になる」といった虚偽の説明が行われていたことが判明しています。
現在、クローバーコインの販売は停止されています。
TLCコイン(トゥルーライフコイン)
TLCコイン(トゥルーライフコイン)は「次世代のビットコインを目指す電子通貨」として登場し、クラブスパークルが運営しています。2015年から販売されているものの、未だに上場しておらず、その価値は実質的にゼロです。
出資者にとっては、長期間使えず価値もない通貨を保有し続けている状況であり、「詐欺コインだ」との批判の声が上がっています。
暗号資産の詐欺コインの特徴
詐欺コインの特徴には、例えば以下があります。
詐欺コインの特徴
・暗号資産(仮想通貨)の取引所から購入できない
・最低購入金額が高い
・価格保証や買取保証がある
・セミナーで勧誘
・代理店を通しての購入
・著名人の名前を使って宣伝
暗号資産(仮想通貨)の取引所から購入できない
「この暗号資産はここでしか購入できない」「今だけの限定価格」といった、購入場所や価格に限定性を持たせて購入を促す手法です。
実際、暗号資産(仮想通貨)の取引は全世界で行われており、日本でも金融庁に登録された取引所からさまざまな暗号資産を購入できます。また、世界中の取引所でも暗号資産の売買は可能です。
そのため、「限定販売」や「先行販売」などは、詐欺の可能性が高いです。
最低購入金額が高い
ビットコイン(BTC)は、ほとんどの暗号資産取引所で0.0001BTCや0.001BTCといった少額から購入できます。
例えば、金融庁登録済みの取引所Coincheckでは、取り扱い通貨がすべて500円から購入可能です。
本来、数百円程度から購入できるはずの暗号資産(仮想通貨)が、詐欺コインの場合、最低購入価格を10万円に設定していることがあります。
これは、10万円程度であれば詐欺だと気づいても、諦めて泣き寝入りする人が多いと考えられているためです。
そのため、最低購入価格が異常に高い場合は、注意が必要です。
価格保証や買取保証がある
「購入金額の50%は保証するので安心してください、儲かりますよ」といった価格保証を前面に出して勧誘する暗号資産も存在します。
しかし、暗号資産の価格は常に変動するものであり、価格保証をしている時点で怪しいと感じるべきです。
また、「もし購入した暗号資産が気に入らなければ、買い取ります」といった言葉で投資家に安心感を与えるパターンも見られます。
仮に買い取ってもらえたとしても、詐欺師が最初から取り分を設定しているため、実際に返金される金額はごくわずかです。
詐欺師にとって、暗号資産の原価はほぼゼロなので、たとえ50%返金しても十分に利益を得られる仕組みになっています。
セミナーで勧誘
暗号資産(仮想通貨)の詐欺はセミナーを通じて勧誘されることもあります。
セミナーの主催者があなたに暗号資産(仮想通貨)の購入を勧める理由は、紹介料を得るためです。
これはいわゆるネズミ講やマルチ商法と呼ばれる手法です。
暗号資産の購入者が増えれば増えるほど、主催者が得る紹介料も増えるため、「〇〇は絶対に価格が上がる」といった魅力的な言葉で積極的に勧誘してきます。
しかし、もし本当にそのコインが価値のあるものであれば、公に販売し、広く認知されるべきです。
セミナーや個人間での勧誘が行われる理由
代理店を通しての購入
現在では、海外の暗号資産もインターネット上の取引所を通じて簡単に購入できるため、わざわざ代理店や仲介業者を使う必要はありません。
この「代理店」という言葉には注意が必要です。
また、「代理店としてこの暗号資産を販売すれば、売上の20%を仲介料として支払います」といった勧誘内容は、先に説明した「ネズミ講」や「マルチ商法」の特徴に該当します。
こうした話は無視するのが一番です。
著名人の名前を使って宣伝
著名人の名前を使って宣伝している暗号資産には注意が必要です。
詐欺師は、一般の人がその著名人に直接確認できないことを利用して、勝手に名前を出します。
多くの場合、著名人本人は自分が詐欺に利用されていることに気づいていないこともあります。
最近は、著名な投資家の画像を無断使用した詐欺広告が増えているので注意しましょう。
SNSで進めてくる
SNS(ソーシャルメディア)は、暗号資産詐欺が広がる場として非常に危険です。詐欺師は、SNSを使って虚偽の情報を拡散し、投資家を巧妙にだまし取ります。以下のような手法に注意が必要です。
1. 「絶対に儲かる」といった煽り文句
「〇〇コインは来月10倍の価値になる」「これを逃すと後悔する」など、過度な利益を約束する投稿が多く見られます。
急激な価格上昇を謳うような話には警戒し、冷静に判断することが重要です。
2. 限定情報や緊急性を強調する手法
「今だけ特別オファー」「今日中に申し込めば元本保証」など、焦らせるような言葉が使われることがあります。
これは詐欺師がよく使う手法で、急いで決断させて冷静な判断をさせないように仕向けています。
3. 偽アカウントやフィッシングリンク
正規の取引所やプロジェクトを模倣した偽のアカウントが、SNS上で投資を勧誘することがあります。
また、リンクをクリックするとフィッシングサイトに誘導され、個人情報や資金が盗まれる恐れもあります。
4. 「無料で学べる」「投資無料」などの誘い文句
「無料で暗号資産の基礎が学べる」といった内容でコンテンツを提供し、最終的に投資に誘導するパターンもあります。一見無料に見えるものの、最終的には「今すぐ購入しないとチャンスを逃す」といった形で投資を促されることが多いです。
これらの手口に騙されないためには、SNSで得た情報を鵜呑みにせず、信頼できる情報源で必ず確認することが大切です。
詐欺に対する対策方法
暗号資産(仮想通貨)について理解を深める
多くの仮想通貨投資詐欺は、仮想通貨に対する理解不足を狙っています。
仮想通貨の価格が急騰したり、最新技術を使っているといった情報に惑わされ、仕組みがよく分からなくても「将来性がある」と思い込んで投資してしまうことが詐欺に繋がっています。
そのため、投資を検討する前に仮想通貨についてしっかり学ぶことが重要です。仮想通貨の価値や仕組みを正しく理解すれば、詐欺師の話に流されず、賢い投資判断ができるようになります。
金融庁の情報を確認する
仮想通貨(暗号資産)の取引サービスを提供するためには、金融庁に登録された「暗号資産交換業者」である必要があります。
(出典:金融庁HP)
金融庁に登録されていない業者は、詐欺のリスクが高いと考えられます。また、金融庁は無登録業者に対して警告も出しているため、警告を受けている業者から勧誘されても、その誘いには乗らない方が賢明です。
投資詐欺かどうかを見分けるには、金融庁の「暗号資産交換業者登録一覧」や「無登録業者に関する情報」をチェックしましょう。
最新の情報はこちらから確認してください↓
⇒「金融庁HP (5) 暗号資産に関する相談事例等及びアドバイス等」
信頼のある国内取引所を利用する
暗号資産を取引する際は、信頼できる国内取引所を利用することが非常に重要です。
信頼性の高い取引所は、金融庁に登録されており、一定の規制や監督を受けているため、安全に取引を行うことができます。登録されていない取引所や、信頼性が疑わしい取引所を利用すると、詐欺や資産の盗難などのリスクが高くなります。
信頼のある取引所を選ぶ際は、以下のポイントを確認しましょう
1.金融庁の登録業者かどうか
金融庁に登録されている取引所は、一定の基準をクリアしており、安全性が確保されています。
2.セキュリティ対策
二段階認証やコールドウォレット(オフラインでの資産保管)など、安全なセキュリティ対策が講じられているか確認しましょう。
3.ユーザーレビューや評価
実際の利用者の評価や口コミを調べて、信頼性をチェックしましょう。
4.サポート体制
困ったときに迅速にサポートを受けられるか、問い合わせの対応がしっかりしているかも重要です。
信頼度の高い日本国内の仮想通貨取引所4選
上記で紹介したポイントを満たした国内の取引所を照会します。
・bitbank
・GMOコイン
・コインチェック
・SBI VCトレード
暗号資産の詐欺に遭ってしまった場合の対処方法
暗号資産の詐欺に遭った場合やトラブルに巻き込まれそうな場合は、信頼できる親族や友人、専門機関に相談しましょう。
冷静さを欠いた状態では、正常な判断ができず、さらに詐欺に巻き込まれる危険もあります。
相談先 | 電話番号 | 備考 |
消費者ホットライン | 188 | 03-3446-1623(最寄りの相談窓口につながらない場合) |
警察(金融サービス利用者相談室) | 0570-016811 | ※IP 電話・PHS からは、03-5251-6811 |
相談先としては、消費者ホットラインや国民生活センター、詐欺に関する警察、または専門の弁護士が挙げられます。
特に詐欺の被害回復を希望する場合は、投資詐欺や消費者被害に詳しい弁護士に相談することが有効です。
暗号資産に関する正しい知識を身につけ、「絶対儲かる」などの甘い言葉に騙されないよう心掛けましょう。
まとめ
暗号資産の世界は、無限の可能性を秘めた魅力的な市場ですが、その反面、詐欺師たちが巧妙に仕掛ける罠も数多く存在します。あなたの資産を守るためには、冷静さと情報の正確さが何より重要です。
高いリターンを謳う投資話や、実態の不明なプロジェクトには十分な注意を払い、常に「なぜこれが本当に価値があるのか?」を自問自答する習慣を持つことが求められます。
信頼できる情報源を見極め、適切な調査を行い、そして疑わしいことには踏み込まないこと。これが、未来の暗号資産投資家として成功を収めるための最も効果的なアプローチです。
あなたの未来を守るため、今一度、自分自身の投資判断力を高め、詐欺の手口に引っかからないよう、慎重に行動してください。安全で堅実な投資こそが、最も確実な利益へと繋がります。
■関連記事
⇒暗号資産(仮想通貨)の取引所と販売所の違いと失敗しない選び方
⇒仮想通貨のマイニングの仕組みと儲からない4つの理由
⇒仮想通貨の税金の計算がヤバい!現金化以外の落とし穴は?